一目均衡表の解説動画【総集編】5線より重要な三波動論と活用例
三世一目山人監修によるMT4の一目均衡表(Ichimoku Kinko Hyo)インディケータ解説動画の最終回・総集編として、5線より重要な三波動論と、実際の相場での活用例を解説します。
【動画監修】三世一目山人/株式会社経済変動総研 細田哲生
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一目山人の遺志を引き継ぎ、正しい一目均衡表活用の普及に従事。 経済変動総研主催の「一目均衡表倶楽部 株式レター」にて一目均衡表による相場解説、罫線講座を執筆する傍ら、原著と称される一目山人著の「一目均衡表」全4巻の読者を主な対象とした対面の勉強会を毎月開催し、理解と親交を深める試みも行っている。 主な著書に、初心者を対象に原著をかみ砕いた「一目均衡表の原理」(パンローロング)があり、その他QUICK社に日経平均株価コメントを配給し、毎週月曜日にはラジオNIKKEIに出演し相場コメントを配信中。 |
①一目均衡表の三波動とは
定義が曖昧な揉み合い相場も、一目均衡表では相場水準を中心に、同程度の騰落を繰り返す動き、とより具体的に把握できました。
一目均衡表では、三回の騰落で全ての値動きをパターン化し、相場を次のように区別します。
N波動:トレンド相場
Y波動:レンジを広げる揉み合い相場
P波動:レンジを狭める揉み合い相場
②N波動の時間的典型パターン・値幅的典型パターン
一目均衡表は、次のような時間関係をN波動の典型としています。
つまり、最初の3点(A,B,C)が決まった時点で、最初の3波動が終了する時間的な目安となるD点を推し測ることができます。
※A~Bが第1波動、B~Cが第2波動、C~Dが第3波動です。
一目均衡表は、N波動の値幅についても、トレンド相場を推し測る際に重視する典型も定義しています。
N計算値:A-B間の値幅をCから引いたもの=トレンドを計測するための最低条件
⇒C点からA-B間の値幅分動いてN計算値に届かなければトレンドの継続を疑問視する必要がある
E計算値:A-B間の値幅をBから引いたもの=トレンドを計測するための十分条件
⇒調整の逆行を帳消しにするB点から、さらにA-B間の値幅分動ける相場は、トレンドの継続余力がある
一目均衡表はこのように値幅関係と時間関係を定義し、それを実際の相場にあてはめて比べることで、値動きの強さを測ろうとしています。
例えば、時間的にはN波動が最長の限界に達したのにN計算値以下の上昇にとどまるようならトレンドの継続性が低い一方、
時間的に余裕のある段階でN計算値を突破するようなら、時間的な限界までにE計算値へ到達することが期待でき、
実際に達成したときは、さらに継続する可能性を検討できる、ということです。
③週足ドル円相場での一目均衡表の活用例
2011年10月 75円57銭の最安値から、今日まで揉み合いと上昇を繰り返し、下落局面の見当たらない典型的な上昇相場を例に、一目均衡表の実際の相場での活用例を紹介します。
2014年8月17日の週(X)で揉み合いのP波動を上に放れ、N波動の上昇相場のなか、
時間内にE計算値を達成し、
その後のP波動を上に抜ける、という典型どおりの展開です。
基準線を押しの限界として割り込まず、上値を切り上げる展開でした。
強い上昇トレンドのときのこの5線の並びは、是非ご記憶下さい。
④トレンドに反する動きを想定できる一目均衡表
上昇トレンドに反する下落の動きを想定できるのが一目均衡表のメリットです。
I ~ J を第一波動とした下落のN波動を想定した場合、時間的限界(8月9日週)や、E計算値、N計算値が決まります。
第二波動が決まった時点で、そこからの時間的限界までは、下落のN波動を警戒せざるを得ません。
N計算値やE計算値に近づく大きな下落のあるときは、危険な値動きとなります。
また、その手前の転換線・基準線がもう一つのチェックポイントです。
押し目にできれば続伸(トレンド継続)の可能性も考えられる一方、揉み合いに発展した場合は各線が相場水準になりえるため、
特にJを割り込むと下落のN波動が完成してしまいます。
⑤一目均衡表が理想とする取引
一目均衡表を考案した一目山人はその原著で、
「相場の開始タイミングは、揉み合いの放れにつくことである」との考えを示しています。
揉み合いの放れを探す作業は簡単ではありませんが、明確にそのタイミングが示された例を紹介します。
例:過去の揉み合い放れ:Xのポイント
基準線・転換線・先行スパン①が概ね一致=揉み合いが長期化していたことを意味します。
一本の陽線により、
転換線と基準線が好転(基>転 ⇒ 転>基へ)し、
遅行スパンが好転(遅行スパン>相場実線)し、
レジスタンスとなっていた転換線・基準線を上抜けが同時に発生。
日足も週足も同じ状況でした。
揉み合い離れを察知できる明らかな瞬間と言えます。
⑥遅行スパンが急な変動に対応
目先に適切なサポートやレジスタンスが見当たらない急騰・急落の場面でも、
遅行スパンの位置にある各線が限界になる場合があり、ある程度の準備が可能になるケースがあります。
26本前の価格と一致した場合、基本数値で同水準を通過しやすい特徴が試されています。
基準線はここ26本の高値安値の半値であり、相場が戻ってきたタイミングでは、基準線の方向を試され、基準線や転換線の反転も試されます。
現行相場と26本前の価格とは、常に比較していくべきです。
トレンド指標としての一目均衡表、オシレーター指標としての一目均衡表
揉み合い相場のオシレーター指標としての一目均衡表は、取引の開始タイミングを探すためとすれば、
トレンド指標としての一目均衡表は、トレンドの継続性を測るためのものであり、
揉み合い放れで取ったポジションの収益を最大化するためのもの、という側面が強いのかもしれません。
トレンドを失った揉み合い相場は、一般的に取引意欲が減退しますが、来るべき揉み合い放れにそなえて最大限の準備をするべきときです。
揉み合い相場を抜けた後に大きな収益機会が眠っているのは、確かです。
【動画企画・制作】etvMEDIA・ジャパン株式会社 浅野敏郎
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1985年からFX業務に従事し、銀行間取引仲介、EBSの電子仲介などを経て、2009年5月etvMEDIA・ジャパン株式会社に合流して現職に至る。メディアという中立な立場から管理・運営するFX動画ニュースWEBサイト「ForexTVジャパン」を通じて、FX市場に関わる情報番組を企画・制作して放映する傍ら、情報プロバイダやWEB媒体と組んで動画コンテンツの企画・制作やコンサルティングに従事。 ◆オフィシャルサイト「ForexTV.jp」 |